私たちは日常生活を送る中で、仕事や運動、ストレスなど様々な場面においてだるいしんどいといった感覚で「疲れた」と感じることがあります。
これは脳から「これ以上、運動や仕事などの作業を続けると身体に害が及びますよ」という人間の生体におけるアラーム(警告)です。

今回は疲労について私の学びをお伝えします。

疲労とは?

心身への過重負荷により生じた活動能力の低下 です。

また、疲労は「疲労」と「疲労感」として区別して用いられます。
ちなみに「疲労感」とは、疲労が存在することを自覚する感覚 です。

疲労感は思考や感情をコントロールするなど情報処理を行う前頭葉で感じますが、物事に対して楽しさや嬉しさ、やりがいを感じた場合、前頭前野が疲労のシグナルを上書きしてしまい、疲労感を感じにくくすることがあるそうです。

日本は勤勉を美徳とする考えが根強く存在していて、文化の価値観から休みにくく、疲れをため込んでしまう傾向にあると言われています。
たかが疲れと軽視せず、自分に合った方法で対処していくことが大切ですね!

三大生体アラーム

🔔痛み 🔔発熱 🔔疲労  

「痛み」「発熱」は、多くの人が鎮痛剤や風邪薬などで対処しますが、「疲労」はこれらに比べて危機感を感じにくく、対処しきれていないことが多いようです。

 

原因別にみる「疲労」

①現代社会がもたらす疲労
〈情報過多による疲労〉
現代は、スマートフォンやテレビなどによって日々あらゆる情報を受け取っています。
私たちが一日に触れる情報量は、江戸時代の一年分、平安時代の一生分ともいわれています。
それらの情報は視覚、聴覚を通じて全て脳に伝達され、必要の有無を取捨選択しています。

そのため私たちの脳は、気づかないうちに疲労が蓄積しています。
このように情報過多による疲労のことを「脳疲労」と言い、現代社会の問題となっています。

〈ストレスによる疲労〉
長時間のデスクワークでほとんど動かないにもかかわらず疲れを生じる肉体的ストレスに、仕事のプレッシャーや、人間関係などの精神的ストレスが加わることで、交感神経が刺激され続け、自律神経が乱れ疲労を感じるようになると言われています。

また、日常のストレスにより不安や恐怖を感じると、脳の「扁桃体」の働きが活発になります。
この「扁桃体」は本能的な感情の処理や直観力、ストレス反応の役割を果たしていて、主に不安や緊張、怒りなどのネガティブな感情に関わっています。

この「扁桃体」は理性が働く「前頭前野」より制御され情緒を安定させようとします。
しかし過剰なストレスにより「扁桃体」が働き続けると「前頭前野」の制御が効かなくなり慢性的なストレスや脳疲労を招くと言われています。

《コラム》ストレスが疲労を感じさせないこともある!?脳がストレスを感じると副腎からコルチゾールアドレナリンというホルモンを出すように命令します。

コルチゾールは疲労感を減少させますが、アドレナリンは身体の活力をみなぎらせる働きをします=応援のシグナル=ストレス応答
なので心身共に疲れていても、ストレス応答が働いていると疲労感が抑えられ疲れを感じにくくなります。

しかしストレス応答が働かなくなると疲労感が増大します。
休日前にどっと疲れがでるのがそういうことですね!

②労作がもたらす疲労
久しぶりに身体を長時間動かしたり、普段していない運動をした時に、痛みや倦怠感などを感じたことはないでしょうか?
痛みは筋肉痛として多くの方が経験したことがあると思います。

筋肉痛とは・・・筋繊維が傷つき、修復する時に炎症が起こることで痛みが生じている状態のことをいいます
※痛みを感じるほどでもないけれど、疲れを感じている状態を筋肉疲労といいます

筋肉疲労とは・・・筋肉自体に傷はないものの、筋肉を使い過ぎていることで筋肉が収縮し血液循環が悪くなり、うまく伸縮できないことで引き起こされます
また筋肉疲労は消費されるエネルギーが生産されるエネルギー量を上回り、バランスがとれなくなることで引き起こされます
このエネルギーバランスに大きく関係しているのがATPという物質です

〈身体のエネルギー源 ATP〉
ATP(アデノシン3リン酸)とは
細胞内のミトコンドリアで生成され、糖質、脂質、一部のアミノ酸が酵素と反応して酸化される代謝経路で生成されます
そしてATPはATP分解酵素の働きでADP(アデノシン二リン酸)リン酸(Pi)に分解される過程でエネルギーを生み出します
運動時に身体は筋肉に蓄えられているエネルギーや酸素を運動の強度に応じて身体が調整・利用し、エネルギーを産生しています。
更にある程度動き続けられるように、人間には絶えずATPを産生し続ける仕組みが備わっているそうです   すごい‼😲  この仕組みの説明は難しいので省略します!😅

③食生活がもたらす疲労
現代は多種多様な食品、料理を食べることができる一方で、食の欧米化による高たんぱく、高脂肪食や朝食を取らなかったり、過度なダイエットなど食生活の乱れが問題となっています。

このような食生活は内臓疲労の原因になります。
内臓疲労に明確な定義はないようですが、「暴飲暴食やストレス、睡眠不足などにより胃腸や肝臓などの消化器官の機能が低下すること」と言われています。

〈あなたの体内は大丈夫? 内臓疲労チェック

□肉を食べることが多い
□インスタント食品や出来合いのお惣菜を食べることが多い
□甘いものが好き
□揚げ物や油物を食べることが多い
□夜遅くに食事を摂ることが多い
□胃もたれが継続する
□お腹が張る、不快感の症状がある
□下痢や便秘になりやすい

疲労の解消法

①食事編
〈筋肉疲労〉

・タンパク質
運動で筋肉に負荷を加えると、筋タンパク質の分解が進んだり筋繊維が破壊されるため、通常よりもタンパク質を多く摂取し、筋肉を修復することが大切です。
また、タンパク質は筋肉だけでなく、全身の細胞や組織を作るために必要です。

動物性タンパク質・・・肉、魚、卵、乳製品
消化吸収が早く、運動により筋繊維を破壊された筋肉に対して、効率的に栄養素を補給することができます。

植物性タンパク質・・・豆類、野菜類、穀類
消化吸収が緩やかで、動物性タンパク質に比べて脂質が低いです。

ビタミンB1(豚肉、ウナギ、玄米)
糖質などをエネルギーに変換するために必要なビタミンです。
筋肉や神経の疲れを和らげる働きがあります。
ただ体内で生成できないため食品からの摂取が必要です。
玉ねぎやニンニクに含まれるアリシンはビタミンB1の吸収を促すため一緒に摂ると効果的です。

〈脳疲労〉
・糖質(穀類、いも類、果物)
脳の主なエネルギー源は糖質です。糖質は体内でブドウ糖(グルコース)に変換され、脳と他の組織にエネルギーを供給します。
ブドウ糖は、体内に吸収されやすく素早く疲労を和らげる効果を持っているため、脳はエネルギー源を求め、甘いものを欲します。
その時の注意点として、糖質の過剰摂取は血糖値の急上昇を招くため、甘いものは少量を数回に分けて摂りましょう。

・DHA(マグロ、サバ、サンマなど)
n-3系多価不飽和脂肪酸のDHAは、脳神経機能を助け、記憶力や判断力を高める作用があります。必須脂肪酸に一つであるため、食品からの摂取が大切になります。

・ビタミンⅭ(アセロラ、パプリカ、キウイなど)
疲労の原因となる活性酸素の発生を抑制する働きがあります。
また、酸味成分であるクエン酸は、食べたものをエネルギーに変換し、疲労解消に効果を発揮します。

・鉄(レバー、赤貝、イワシなど)
脳内で幸福感をもたらすドーパミンや、精神を安定させるセロトニンを生成される過程で鉄が補酵素として関与しており、脳疲労を解消するために働いています。
また、鉄は全身に酸素を供給する役割も担っているため、不足すると酸素が供給されず食欲低下や倦怠感を感じ疲労を感じやすくなります。

〈精神疲労〉
・ビタミンA・Ⅽ・E(にんじん、ブロッコリー、アーモンド)
ビタミンA、Ⅽ、Eは、強い抗酸化作用を示すビタミンで、通称ビタミンACE(エース)ともいわれています。
疲労の原因の一つである活性酸素の除去に必要な栄養素です。

・トリプトファン(バナナ、チーズ、赤み肉)
幸せホルモンであるセロトニンは、自律神経のバランスを整え、精神状態を安定、リラックスさせる働きがあります。
しかし、セロトニンは食品から摂取できないので、セロトニンの材料となるトリプトファンを摂取することが大切です。

・テアニン(緑茶など)
緑茶のうま味、甘味の成分で、興奮を抑制し緊張を和らげ、心身をリラックスさせる効果があります。
テアニンが脳内に入ることで、神経伝達物質のドーパミンたセロトニンを分泌促進させ、血圧降下作用や脳神経細胞保護作用に加え、記憶力や集中力を高める効果があります。

・リコピン(トマト)
抗酸化作用があり、活性酸素を除去してくれるので疲労回復効果が期待できます。

②積極的休養編
(安静にしているよりも、ストレッチやウオーキングなど身体を動かすことで得られる休息)

〈アクティブレスト〉
アクティブレストとは、疲労時にあえて軽く身体を動かすことで全身の血液循環を良くし、滞留していた老廃物や疲労物質が排出されることで心身を整えることを言います。

また、程よく運動することは良質な睡眠を促すことに繋がります。
ポイントは息が上がるほどの運動ではなく、心地よいと感じる運動です。

〈IAP呼吸法〉
IAP呼吸法とは、疲労回復方法として活用されている呼吸法です。
息を吸う時も吐くときも、腹圧を高く保ってお腹を固めるのが特徴で、この呼吸法で腹圧を高めることで、姿勢の補正や体感強化が期待され、無駄な動きの軽減、疲労軽減に繋がるといわれています。

③入浴編
〈温熱効果〉
温かいお湯に浸かると、皮膚の毛細血管が拡張し、全身の血流が良くなります。
すると血流によって身体の隅々まで酸素や栄養素、ホルモンなどが運ばれ、新陳代謝が向上し、老廃物や疲労物質が排出されます。
入浴は心身を温める効果がありますが、自律神経に作用します。
温度によって効果が異なるので、副交感神経を優位にさせ、リラックス効果が得られやすいのは37℃~39℃の微温浴が好ましいです。

〈浮力効果〉
水中では浮力によって身体の重さが約10分の1程度になります。
すると筋肉や関節の緊張が緩み、足の疲れの解消に繋がります。
また、脳の緊張も徐々にほぐれ、心身共にリラックス状態になります。

〈静水圧効果〉
静水圧とは、静止した水の中に入った時に働く水圧のことで、お湯に浸かると静水圧がかかり、滞った血液やリンパ液を押し流され、心臓の働きを活発にすることで、血液循環を促進します。
また、水圧で横隔膜を押し上げることで呼吸回数が増え、心肺機能も高まります。

④睡眠編
睡眠中は、心身の疲れを取るだけではなく、その日にあった出来事を脳に整理・定着させたり、細胞の新陳代謝を行ったり疲れた身体を効率良く修復します。
しかし脳は寝ている時間にも活動しているため、情報量の多い現代においては、脳の負担は増えています。
なのでいかに質の良い睡眠をとるのかが鍵となっています。

〈成長ホルモン〉
成長ホルモンは、入眠直後のノンレム睡眠に最も多く分泌されるホルモンで、運動や労働によって傷んだ細胞や組織のダメージを修復・再生する働きがあり、アンチエイジングホルモンと呼ばれています。
睡眠の質が悪かったり睡眠不足になると身体の修復が不十分になり翌日に疲労を残してしまい、疲労が蓄積すると慢性疲労に繋がります。
加齢に伴い成長ホルモンの分泌は減少しますが、寝る前のスマートフォンの使用を控え、入眠しやすい環境づくりをしましょうね!

〈パワーナップ〉
パワーナップとは、12~15時くらいに取る15~30分程度の睡眠(昼寝)です。
短期的な記憶がクリアされて、情報の整理・記憶・優先順位をつける機能が強化するとされています。
ただ…ついつい寝過ぎちゃいそう…😅

定期的なメンテナンスで疲労を解消しましょう!

疲労についての学びはいかがでしたか?
現代はパソコン、スマートフォンの普及で、情報過多の時代です。
便利になった分、生活が忙しくなってるように思います。

そのことを意識して上手に休息を取れてる人もいるとは思いますが、無理をしてることに気づかずに体調不良になる人もいるはずです…
もし心当たりがある人は生活を見直してみてはどうでしょうか!
「疲労」を侮らず、ご自身のお身体を大事にしましょうね!<(_ _)>🍀

大牟田市のリラクゼーションサロン ビハーラでは、手のぬくもりで疲れを癒すお手伝いをさせていただいております。
疲れているなと感じたらぜひ当サロンへお越しくださいね♪

参考資料 日本成人病協会 健康管理士専門教本
ほすぴ 知って活かせる!健康情報~疲労編~